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20.クランク‐スライダ機構(4)〜パラメータスタディ

シミュレーションモデルの用途の1つにパラメータスタディがあります。パラメータスタディとは、注目する出力に対するあるパラメータ(特に設計変数)の影響を、同じ条件でパラメータの値を段階的に変えた解析を複数回行うことによって調べる手法です。本項では、例題6で作成したクランク‐スライダ機構のシミュレーションモデルを用いて、パラメータスタディの例を紹介します。

クランクトルク

例題6のシミュレーションモデルで、クランクを一定角速度2π(rad/s)で回転させるのに必要なトルク(クランクトルク)は、axial rotationジョイントのz軸周りの反トルクとして求めることができます。下に示すコード1は、jntファイルを読み込んで、クランクトルクの時間変化をプロットするMATLABスクリプトです(jntファイルのフォーマットについては第16項参照)。また、このスクリプトを用いてプロットしたクランクトルクの時間変化のグラフを図1に示します。

plot_crank_torque.m
% plot_crank_torque.m

clear; close all;

[LABEL,DATA] = MBDynLoad('crank_slider_2.jnt');

T_Crank = DATA(:,7,LABEL==2);

t = 1.e-2*[0:length(T_Crank)-1];

plot(t,T_Crank,'LineWidth',1.5);
grid on;
xlim([0,5]);
set(gca,'FontSize',14);
xlabel('Time (s)','FontSize',14);
ylabel('Crank Torque (Nm)','FontSize',14);
コード1: クランクトルクの時間変化をプロットするMATLABスクリプト

plot_crank_torque

図1: クランクトルクの時間変化

パラメータスタディ(1): スライダのオフセット量がクランクトルクに与える影響

スライダのオフセット量がクランクトルクにどのような影響を与えるか、パラメータスタディによって調べてみましょう。前項の例題6の入力ファイル「crank_slider_2.mbd」において、スライダのオフセット量「Offset_Slider」の値を次のように変えてシミュレーションを行います。

0.00, 0.02, 0.04, 0.06, 0.08, 0.10, 0.12, 0.14, 0.16, 0.18, 0.20

ここで、入力ファイル中の“長さ”の単位はメートルを仮定しているので、上記は0〜20cm の間を2cm 刻みで変えることを意味します。

各オフセット量でのクランクトルクの時間変化を図2に示します。


plot_crank_torque_param_offset

図2: スライダのオフセット量とクランクトルクの時間変化

図2を見ると、オフセット量が0〜18cmの間ではクランクトルクの挙動は連続的に変化していますが、18cmと20cmの間で激しく不連続な変化が起こっていることが分かります。これは、次の動画1のアニメーションから分かるように、オフセット量が20cmに達してクランク長と等しくなると、機構の運動に質的な変化が起こるためです。




動画1: スライダのオフセット量が20cmの時のシミュレーション結果―アニメーション

スライダのオフセット量が0〜18cmの間で、スライダのオフセット量と最大クランクトルクの関係をまとめると、図3のようになります。この図より、スライダのオフセット量が増すほど、大きなクランクトルクが必要になることが分かります。


plot_max_crank_torque_param_offset

図3: スライダのオフセット量と最大クランクトルクの関係

パラメータスタディ(2): コンロッド長がクランクトルクに与える影響

同様に、コンロッド長「Length_Conrod」の値を次のように変えてシミュレーションを行ってみます。

0.30, 0.32, 0.34, 0.36, 0.38, 0.30, 0.42, 0.44, 0.46, 0.48, 0.50

上記は30〜50cm の間を2cm 刻みで変えることを意味します。

シミュレーション結果から、コンロッド長と最大クランクトルクの関係をまとめると図4のようになります。この図より、コンロッド長が増すほど、必要なクランクトルクが小さくなることが分かります。


plot_max_crank_torque_param_conrod

図4: コンロッド長とクランクトルクの最大値の関係